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名駅MAブログ

【監修医:矯正歯科学会 認定医&指導医 増岡 尚哉


叢生は前歯で起こりやすいため、見た目が気になりコンプレックスに感じてしまう方が多いです。笑顔に自信が持てなかったり、会話や食事の際に自分の口元が見られているようで手で口元を隠してしまったり、そんな日常をお過ごしではないでしょうか?
そのお悩み、もしかするとマウスピース矯正(インビザライン)で解決できるかもしれません。
今回は、実際に重度の叢生をインビザラインで改善した症例をご紹介し、「叢生の将来的なリスク」や「矯正治療で大切なこと」などについても解説します。

【目次】
1.歯の重なりが大きい場合は重度の叢生かも!?
 1-1 重度の叢生をそのままにするリスク
2.重度の叢生をインビザラインで治療したケース
 2-1 叢生・抜歯(25歳:治療期間2年)
3.重度の叢生で後悔なく治療を進めるために大切なこと
 3-1 ①虫歯や歯周病治療を優先的に進める
 3-2 ②歯科医師選びは認定資格を1つの基準とする
 3-3 ③非抜歯にこだわりすぎないようにする
 3-4 ④より納得して治療を受けるならセカンドオピニオンを利用
 3-5 ⑤インビザラインを適用できるか事前に確認する
 3-6 ⑥装置の使用法・時間・予約を守って後戻りを防ぐ
 3-7 ⑦違和感や痛みが長引く場合は早めに医院に連絡をする
4.重度の叢生でもインビザラインを適用できるケースもあります!

歯の重なりが大きい場合は重度の叢生かも!?

叢生とは、歯が重なって生えており、歯並びがガタガタしている状態をいいます。歯と顎骨の大きさのバランスが悪いと叢生になりやすいです。
具体的には、歯のサイズが顎骨に対して大きい、あるいは、顎骨のサイズが歯に対して小さいと、歯が生えるスペースが十分に確保されないことで、歯が重なり合って生えてきます。別名、乱杭歯とも呼ばれ、八重歯も叢生の1つに分類されます。

重度の叢生の場合は、歯が生えるスペースが圧倒的に不足している状態で起こり、歯の重なりが6mm以上にもなります。前歯だけではなく、奥歯に生じることも珍しくありません。

また、出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)、交叉咬合など、叢生以外の不正咬合を併発している場合も、重度の叢生と診断されることがあります。
このような状態だと、咬み合わせにも悪影響を及ぼし、咀嚼がうまくできず、消化不良や栄養がうまく吸収されないなど全身の健康にまで悪影響が及ぶリスクを孕んでいます。

叢生の原因には、遺伝や幼少期からの癖(指しゃぶり、舌で前歯を押す癖)、悪い姿勢などが挙げられます。これらの癖や習慣が見られる場合は、早めに改善できるように心がけましょう。

重度の叢生をそのままにするリスク

重度の叢生は、咬み合わせも悪化しているため、見た目以外にも咀嚼などに影響し、全身の不調に繋がることもあります。
重度の叢生が引き起こすリスクについて解説します。

1.顔の印象への影響

叢生は特に前歯で発生しやすく、コンプレックスを感じやすい症状です。そのため、会話をする時や笑う時に手で口元を隠したり、口を大きく開けないようにしたりすることで、相手に表情が乏しい印象を与えてしまうことがあります。
口元や歯並びがキレイだと、自分に自信がつくことで表情が豊かになりやすく、相手への第一印象も良くなりやすいです。

2.咬み合わせの悪化

重度の叢生により上下の歯が咬み合っていないと、食べ物をうまく咀嚼できません。咀嚼がうまくできないと、胃や腸などへの負担がかかることで消化不良が起こったり、栄養の吸収が不十分になったりすることがあります。
よく見られる八重歯では、上下の歯が咬み合っておらず、食べ物を咬み切るという歯としての機能がうまく果たせないことが多いです。

3.プラーク(歯垢)の蓄積

歯が重なっている部分は、歯ブラシが届きにくくてプラーク(歯垢)が蓄積しやすいため、虫歯や歯周病リスクを高めてしまいます。
また、コーヒーやカレーなどに含まれる色素成分も沈着しやすく、歯の着色の原因になります。
これらを防ぐためには、フロスや歯間ブラシ、タフトブラシなどの清掃補助用具を使用して、より丁寧に時間をかけて歯磨きを行う必要があります。

4.顎関節症のリスク

下顎の骨は、頭蓋骨にぶら下がった状態で繋がっており、前後左右へと自由に動かすことができます。この両者を連結している接合部分が「顎関節(がくかんせつ)」です。
このような構造から、咬み合わせが乱れると顎関節もずれやすく、関節部分に大きな負担がかかります。その結果、引き起こされるのが「顎関節症」です。
代表的な症状としては、関節のつなぎ目にある軟骨がズレることによる「カクカク」という関節音や、関節の痛み、口の開けにくさなどが挙げられます。

重度の叢生をインビザラインで治療したケース

当院にて行なった治療の一例をご紹介いたします。

叢生・抜歯(25歳:治療期間2年)

<治療前>


<治療後>


初診時年齢:25歳7ヶ月
主訴:前歯のガタガタ
診断:交叉咬合を伴う叢生症例
治療内容:小臼歯4本を抜歯した後、インビザラインを使用して主訴である叢生の改善を行いました。
治療期間:2年
リスク:矯正治療による歯の移動に伴う痛み、歯根吸収、虫歯
費用:80万円

重度の叢生で後悔なく治療を進めるために大切なこと

矯正治療をスムーズに進めるには、担当歯科医師の技術はもちろん、患者さんの協力が欠かせません。
なるべく治療をスムーズに進めるために、事前に知っていただきたいことについてお伝えします。

①虫歯や歯周病治療を優先的に進める

矯正治療中は、治療方法に関わらず、矯正装置を長期間装着することになります。そのため、お口の中に細菌が停滞しやすく、矯正治療を受けていない状態よりも虫歯や歯周病のリスクが高まりやすいです。(ただし、マウスピース矯正は装置の取り外しができるため、ワイヤー矯正に比べると虫歯や歯周病のリスクは低いです)
お口の中の状態によっては、矯正治療を行う前に虫歯や歯周病治療を行うことで、これらのリスクを軽減させることができます。

矯正治療中に大きな虫歯ができてしまい、治療をしなければいけなくなった場合、ワイヤー矯正では装置の取り外しが必要です。
マウスピース矯正では、虫歯の治療はそのままできますが、治療して歯の形が変わることで装置が合わなくなり、再作製が必要になるケースも少なくありません。
どちらも治療期間が延びたり追加費用がかかったりしてしまうため、矯正治療前に優先して虫歯治療を行っておくことが重要です。

※矯正治療で歯を動かした際に、虫歯が発見されることがあります。歯と歯が重なっている部分はレントゲン検査でも死角になりやすく、専門家でも事前に察知できないことも珍しくありません。このようなケースでは、矯正治療中であっても必要に応じて虫歯治療を行うことがあります。

②歯科医師選びは認定資格を1つの基準とする

「日本矯正歯科学会」とは、矯正歯科における専門的な知識や技術の発展や普及を目的に発足した学術団体で、現在では7000人の会員が在籍しています。
この団体が定める規定の条件を満たした歯科医師が「認定医」「専門医」「指導医」「臨床指導医」として認められます。

  • 「認定医」:矯正歯科治療において一定の臨床経験がある。学会の症例審査を通過した歯科医師。
  • 「専門医」:矯正歯科治療において高度な技術や経験、専門知識を有している。認定をクリアした後、症例審査以外に診療活動や学術活動の実績を積み審査に合格した歯科医師。
  • 「研修指導医」:専門医の育成など矯正治療において指導する立場となる歯科医師。12年以上学会に在籍し、研修指導医としての学術活動の実績を積み審査に合格した歯科医師。
  • 「臨床指導医」:矯正歯科治療において高度な技術と専門知識を有し、他診療科の歯科医師や医師との連携でも適切に指示を出せる実力者。教育機関や大学病院での指導歴や学会活動の実績を積み、審査に合格した歯科医師。

実際、矯正歯科治療は、歯科医師の国家資格があれば行える医療行為です。しかし、これらの資格を有する歯科医師であれば、より専門的な技術や知識があり、臨床経験も積んでいるため信頼度が高いと言えます。
歯科医院のホームページなどで、歯科医師の有する資格情報も確認してみましょう。

③非抜歯にこだわりすぎないようにする

矯正治療では、抜歯を行うケースと抜歯を行わないケースがあります。できれば抜歯をしたくないと思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、その気持ちを優先して非抜歯で治療をすることによって、叢生は改善されても出っ歯になってしまったり、口元がボコッと出ている状態になってしまったりして、理想とする歯並びや咬み合わせにならない場合があります。非抜歯矯正で歯を綺麗に並べるには、歯の並ぶアーチを前方に拡げる必要があるからです。

矯正治療における抜歯は、歯を動かすスペースが足りない場合に行われます。咬み合わせへの影響を最小限にするために、基本的には第一小臼歯か第二小臼歯が抜歯の対象になります。
矯正治療を考える際は、歯科医師の説明をしっかりと聞き、非抜歯にこだわりすぎないようにしましょう。

④より納得して治療を受けるならセカンドオピニオンを利用

セカンドオピニオンとは、担当医以外の医師に意見を求めることを意味します。診断や治療方針について

  • 他の方法もあるのか聞きたい
  • いくつか提案された治療方法の中から決断できない
  • 説明を聞いても理解しにくかった

などと感じた場合に利用することをお勧めいたします。

セカンドオピニオンを受ける歯科医院としては、矯正治療専門の歯科医院や認定資格をもつ医師が在籍する歯科医院を候補に入れるとよいでしょう。

担当医とは異なる治療方法を提案された場合、治療方法を比較して考えることができるため、より治療への理解が深まりやすいです。
また、同じ治療方法を提案された場合でも、より納得した状態で治療をスタートさせることができます。
実際、当院でも「セカンドオピニオンをお願いします」と言って予約を取られる方が少しずつ増えており、患者さん自身が積極的に行動して納得できる治療方法を探す傾向がみられるようになっています。

⑤インビザラインを適用できるか事前に確認する

インビザラインは、マウスピース型矯正装置を使用して歯並びを改善する治療方法の1つです。装置が透明であるため、矯正治療中でも目立ちにくいのが大きな特徴です。
しかし、抜歯が必要となるような重度の叢生では、インビザラインを適用できないケースも少なくありません。そのような場合は、ワイヤー矯正で矯正治療を行うことになり、他にも、ワイヤー矯正とインビザラインを併用するパターンもあります。

ワイヤー矯正は、歯を大きく移動させることができますが、歯に直接装置を接着するため装置が目立ちます。2つの治療方法を併用することで、相互でデメリットをメリットで補うことが可能です。
治療の流れとしては、先にワイヤー矯正を行なって、インビザラインで治療できる範囲まで歯並びを改善して、その後でインビザライン治療を行います。
このように治療を進めることで、重度の叢生でも歯を動かすことができ、ワイヤー矯正の期間を短くすることができます。

歯並びの状態には軽度から重度まで個人差があるため、患者さんによって最適な治療方法が異なります。
まずは、歯科医院で行っている矯正カウンセリングなどを利用して、ご自身に合った治療方法について相談していただくことをお勧めいたします。

⑥装置の使用法・時間・予約を守って後戻りを防ぐ

矯正治療で1番重要なことは、患者さん自身が矯正装置の使用方法や使用時間、予約時間を守ることです。これらを守れないと治療期間が長引いてしまうことがあります。

たとえば、治療が長引く原因として、

  • ワイヤー矯正で治療中、歯や装置のケアが不十分で、虫歯ができ、虫歯治療が必要になった場合
  • マウスピース矯正で治療中、装置の交換や装着時間の不足により、計画的に歯を移動できなかった場合
  • 治療の予約をキャンセルしてそのまま予約を取っていなかった場合

などがあげられます。
イベントや行事などで装置の装着時間が守れそうにない時は、あらかじめ歯科医師に相談しましょう。
急遽、都合が合わず予約をキャンセルする場合は、なるべく次回の予約を取っておくと良いでしょう。

また、歯を移動させて歯並びが整った後も、リテーナー(保定装置)と呼ばれる装置を装着する必要があります。
リテーナーは、基本的には歯を動かした期間と同じくらいの装着期間が必要で、主に就寝時に使用します。
矯正治療で移動した歯は元の位置に戻ろうとする性質があります。そのため、歯並びが改善したからといって保定装置を使用せずにいると、歯が元の状態に戻ってしまうことがあるため、必ず指示された通りリテーナーを使用することが大切です。

⑦違和感や痛みが長引く場合は早めに医院に連絡をする

矯正治療を始めると、歯を少しずつ移動させるため、多少の違和感や痛みが生じることがあります。特に、治療開始直後や装置交換直後は、歯に矯正力がかかるため症状を感じやすいです。
歯が動き始めて1週間~10日くらいで、少しずつ症状が落ち着いてきます。このような場合は、次の受診まで待ってもかまいません。

しかし、長期間症状が続いたり強まったりするような場合は、早めに歯科医師に相談しましょう。受診の目安は2週間以上続くケースです。

考えられる原因としては、

  • 装置の不具合(対処法:早めに医院に連絡していただき、装置の交換や調整を行います)
  • 強い力がかかっている(対処法:症状が落ち着くまで装置を緩める)
  • 虫歯や歯周病(対処法:新たに発見された場合、必要があれば虫歯治療や歯周病治療を行う)

などが挙げられます。

インビザラインでは、主に3つの方法で歯を動かしてスペースを作ります。

  1. 「側方拡大」:顎骨を横方向に拡大し歯が並ぶアーチを拡げる方法。約1mmの拡大で約7mmのスペースを作り出せる。
  2. 「遠心移動」:奥歯をさらに後方に移動させることで、2~5mmのスペースを作り出す。インビザラインが得意とする動き。
  3. 「前方移動」:歯を前方に動かすことでスペースを作り出せる。内側に傾斜した歯に適用しやすい。

軽度の叢生の場合は、これらの方法で歯並びを改善することができます。

しかし、重度の叢生の場合は、歯を動かすだけではスペースを確保できないため、IPR(※)や抜歯などの処置を行ってスペースを作り出す必要があります。
※IPR:歯へのダメージが最小限に済むようにエナメル質の範囲(0.2~0.5mm)で側面を削り、スペースを作り出す方法

インビザラインという方法1つとっても、治療方法は様々です。
当院では、抜歯を必要とする重度の症例でもインビザラインを適用できたケースもあります。叢生はもちろん、歯並びにお悩みがある方は、ぜひ当院へご相談ください。無料カウンセリングも実施中です。

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